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製造業における稼働率とは?計算式や可動率との違いを解説

製造業の現場では、生産性を測る指標として稼働率が頻繁に用いられています。
しかし、稼働率を単に高めればよいというわけではなく、状況に応じた適正値を見極めることが求められます。
また、読み方は同じでも意味が異なる可動率との違いを正しく理解しなければ、誤った判断につながるかもしれません。
本記事では、稼働率の定義や計算式、可動率との違い、適正な目安や低下原因と改善策を解説します。
ぜひ生産管理の効率化や経営判断の参考にしてください。
製造業の現場における稼働率の定義とは?
製造業における稼働率(Utilization)とは、工場の生産能力に対して実際にどれだけ生産したかを示す指標です。
一般的に「生産実績÷生産能力×100」で算出されますが、この数値は高ければよいとは限りません。
需要を無視して稼働率100%を目指せば、売れない在庫を抱える原因になります。
現場では「機械を止めるな」と考えがちですが、経営視点では「必要なときに必要なだけ動かす」のが正解です。
正しい定義を理解し、利益を生み出す生産管理を目指しましょう。
読み方は同じでも意味が異なる可動率との違い
言葉の響きは同じでも、管理すべき目的が全く異なる「可動率」について、以下3つを解説します。
- 稼働率は売れ行きに応じて変動させるべき指標である
- 可動率は設備を使いたいときに動かせる信頼性を示す
- 目的を混同すると過剰在庫や機会損失を招く
それぞれの違いを明確に理解することで、適切な生産管理が可能になります。
稼働率は売れ行きに応じて変動させるべき指標である
稼働率(Utilization)は、顧客からの注文量によって決定される経済的な指標です。
市場からの需要が生産能力を下回っている場合、稼働率をあえて低く設定することが経営的に正しい判断となります。
たとえば、能力の80%しか注文がないのに100%稼働させれば、残りの20%は不要な在庫となってキャッシュフローを悪化させるでしょう。
反対に注文が殺到しているときは、フル稼働で対応しなければなりません。
このように、稼働率は現場の頑張りで上げるものではなく、営業状況や市場環境に合わせて柔軟に調整すべき数値です。
可動率は設備を使いたいときに動かせる信頼性を示す
可動率(Operational Availability)は「べきどうりつ」とも呼ばれ、設備そのものの信頼性を表す指標です。
これは「スイッチを入れたら、いつでも正常に動く状態」がどれくらい保たれているかを示しており、できる限り100%を目指すべき数値といえます。
故障や段取り替えなどで設備が止まっている時間が長いほど、この可動率は低下します。
生産計画どおりにモノを作るためには、機械がいつでも動ける状態にあることが大前提です。
したがって、現場の保全活動や改善努力は、稼働率ではなくこの可動率の向上に向けられるべきです。
目的を混同すると過剰在庫や機会損失を招く
これら2つの指標を混同してしまうと、企業の利益構造に深刻な悪影響を及ぼしかねません。
稼働率を上げること自体が目的になると、需要と生産量のバランスが崩れ、結果として過剰在庫が発生する可能性があります。
一方で可動率の維持を怠ると、いざ注文が入ったときに機械が故障して動かず、納期遅れや販売機会の損失につながるでしょう。
「売れる分だけ作る(稼働率の適正化)」と「いつでも作れる状態にする(可動率の向上)」は、セットで考えなければいけません。
それぞれの数字が持つ意味を正しく理解し、使い分けるマネジメントが求められています。
正しい現状把握に必要な稼働率と可動率の計算式
稼働率と可動率を正確に算出するためには、それぞれの計算式を理解し、必要なデータを適切に記録することが欠かせません。
そのためには、以下の3つを理解しておきましょう。
- 稼働率は生産実績を最大生産能力で割って算出する
- 可動率は稼働時間を正常に動作可能な時間で割って算出する
- 正確な計算のために停止時間を分類して記録する
これらを実践することで、現状を正しく把握し、改善につなげられます。
稼働率は生産実績を最大生産能力で割って算出する
稼働率の計算式は「稼働率(%)=生産実績÷最大生産能力×100」で表されます。
ここで言う最大生産能力とは、定時稼働時間内に設備をフル稼働させた場合に製造できる理論上の最大個数のことです。
たとえば、1日8時間で100個作れる能力があるラインで、実際の注文に基づいて80個生産した場合、稼働率は80%となります。
この計算を行うことで、現在の設備投資が過剰なのか、あるいは不足しているのかを判断する材料が得られるでしょう。
分母となる生産能力を正しく設定することが、精度の高い稼働率管理を行うためのポイントです。
可動率は稼働時間を正常に動作可能な時間で割って算出する
可動率の計算式は「可動率(%)=(総運転時間-停止時間)÷総運転時間×100」となります。
設備を動かそうとした時間のうち、実際に動いていた時間の割合です。
ここでの停止時間には、故障による停止だけでなく、段取り替えや刃具交換などに要した時間もすべて含まれます。
もし1日8時間の操業中に、故障修理や段取りで合計2時間止まっていた場合、可動率は75%まで低下することになるでしょう。
この数値を日々モニタリングすることで、設備の健全性や現場の対応力を客観的に測れます。
正確な計算のために停止時間を分類して記録する
計算の精度を高めるためには、設備が止まった理由を細かく分類して記録する習慣が必要です。
単に「機械が止まった」という事実だけでは、それが計画的な停止なのか突発的なトラブルなのかが判別できません。
休憩や朝礼などの「計画停止」、故障やトラブルによる「故障停止」、段取り替えによる「段取り停止」などを明確に分けましょう。
とくに可動率の計算においては、計画停止を除外した運転時間の中で、どれだけロスが発生したかを見ることが肝心です。
日報やIoTツールを活用してデータを蓄積し、停止要因の内訳を分析できる体制を整えてください。
稼働率を評価する際の適正な目安と注意点
稼働率を評価する際には、単に数値の高低だけでなく、その背景にある状況を理解することが求められます。
- 稼働率100%超えは設備の過負荷を意味する
- 在庫過多を防ぐには需要に見合った稼働率に抑える
- 業界平均よりも自社の損益分岐点から目標を決める
これらを踏まえることで、適切な稼働率の目標を設定できます。
稼働率100%超えは設備の過負荷を意味する
稼働率が100%を超えている状態は、定時能力以上の生産を行っていることを意味し、設備や人員に過度な負担がかかっています。
残業や休日出勤で対応しているケースが多く、短期的には需要に応えられていても、長期的には故障リスクや労働環境の悪化を招くでしょう。
余裕のない生産計画は突発的なトラブルへの対応力を奪い、1つのミスが大きな納期遅延につながる危険性もあります。
常に100%近い稼働率は、ボトルネック工程が限界に達しているサインかもしれません。
このような状態が続く場合は、設備増強や人員配置の見直しを検討するタイミングだといえます。
在庫過多を防ぐには需要に見合った稼働率に抑える
稼働率は高ければ高いほど効率がよいと思われがちですが、需要を無視した高稼働率は経営リスクになります。
売れる見込みのない製品を作って倉庫に積み上げることは、材料費や労務費を無駄に使い、保管コストまで増やす行為だからです。
適正な稼働率とは、あくまで「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産した結果でなければなりません。
ときには稼働率を意図的に下げる勇気を持つことも、キャッシュフローを守るためには重要です。
現場の評価基準を「稼働率の高さ」だけに置かず、「在庫の適正化」や「OEE(設備総合効率)」とセットで考えましょう。
業界平均よりも自社の損益分岐点から目標を決める
稼働率の目標値を設定する際、他社の平均値や一般的な目安を気にしすぎるのは賢明ではありません。
企業の固定費や製品の利益率はそれぞれ異なるため、利益が出る稼働率のラインも当然違ってくるからです。
まずは自社の損益分岐点を把握し、最低限確保すべき生産量をベースにして目標稼働率を算出しましょう。
そのうえで、将来の成長や変動リスクを考慮し、80%から90%程度の稼働率で利益が出るような体制を目指すのが理想的です。
稼働率が低下する原因と効果的な改善策
稼働率が低下する原因は多岐にわたりますが、おもな要因を特定し、適切な改善策を講じることで向上させられます。
具体的な方法として、以下の3つがあげられます。
- 突発的な故障停止を減らすために予防保全を行う
- 段取り替え時間を短縮して生産可能時間を増やす
- チョコ停の発生箇所を特定して設備を改善する
現場レベルで実行できる対策を積み重ねていくことが大切です。
突発的な故障停止を減らすために予防保全を行う
稼働率や可動率を低下させる最大の要因は、予期せぬ設備の故障による長時間停止です。
これを防ぐためには、壊れてから直す「事後保全」だけでなく、IoTで故障の予兆を捉える「予知保全」への転換が不可欠です。
日常点検の項目を見直し、オペレーターが異音や発熱などの異常を早期に発見できる仕組みを作りましょう。
過去のトラブルデータを分析して部品の寿命を予測し、計画的にメンテナンスを行うことも効果的です。
段取り替え時間を短縮して生産可能時間を増やす
多品種少量生産の現場において、大きなロスとなっているのが段取り替えの時間です。
金型の交換や設定変更に時間がかかればかかるほど、実際に製品を作れる時間は削られていきます。
この時間を短縮するためには、「内段取り(機械を止めて行う作業)」をできるだけ「外段取り(機械を動かしながら行う作業)」に移行する工夫が必要です。
たとえば、次に使う治具や材料を機械が動いている間に手元に準備しておくだけでも、停止時間は短縮できるでしょう。
作業手順の標準化や専用工具の活用など、「シングル段取り(段取り時間を10分未満に短縮すること)」を目指した改善活動を進めてください。
チョコ停の発生箇所を特定して設備を改善する
「チョコ停」とは、ワークの詰まりやセンサーの誤検知などで設備が一時的に停止し、すぐに復旧できるトラブルのことです。
一度の停止時間は短くても、頻繁に発生すればトータルの稼働時間は大幅に削られ、オペレーターの監視負担も増大します。
しかし、チョコ停は故障と違って記録に残りにくいため、根本的な対策が後回しにされがちです。
まずは現場をよく観察し、どこでどのようなチョコ停が起きているかを数値化して現状を把握しましょう。
まとめ:稼働率とは企業の利益構造を支える重要な管理指標
稼働率や可動率の改善には、現場の課題に合わせた設備の最適化が不可欠です。
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