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品質保証と品質管理の違いとは?基本的な考え方や4つの違いを解説

モノづくり企業において、製品の品質は企業の信頼性を左右します。
自社の製品品質に課題を感じ、品質保証と品質管理の役割分担に悩んでいませんか?
この2つの言葉は混同されがちですが、その目的や責任範囲は大きく異なります。
両者の違いを理解しないままでは、効果的な品質活動は行えません。
本記事では、品質保証と品質管理の基本的な考え方と、両者の4つの明確な違いを解説します。
両者の役割を正しく理解し、自社の品質活動を見直すために参考にしてください。
品質保証(QA)と品質管理(QC)の基本的な考え方
品質保証と品質管理は、どちらも製品の品質を維持・向上させるために不可欠な活動ですが、その根底にある考え方は大きく異なります。
ここでは、以下2つの活動について解説します。
- 品質保証とは顧客の信頼を約束する活動
- 品質管理とは製品の品質を維持する活動
それぞれ見ていきましょう。
品質保証とは顧客の信頼を約束する活動
品質保証とは、製品やサービスが顧客の要求を満たし、購入のあとも安心して使用できる状態を「保証」するための、体系的な活動全般を指します。
その最大の目的は、製品の不具合を未然に防ぎ、顧客満足度と企業への信頼を高めることです。
製品の企画・設計段階から、原材料の調達や製造・出荷・販売、アフターサービスやクレーム対応まで、製品のライフサイクル全体が対象です。
品質保証は、問題が発生してから対処するのではなく、問題が起きないようにあらかじめ対策を講じる「予防的」なアプローチを重視します。
つまり、単に製品の品質をチェックするだけでなく、顧客との長期的な信頼関係を築くための包括的な取り組みです。
品質管理とは製品の品質を維持する活動
品質管理とは、製造工程において、製品が定められた品質基準や仕様を満たしているかを確認し、維持するための具体的な活動です。
この活動は「作り手視点」に立っており、おもな目的は製造プロセスを安定させ、不良品の発生を最小限に抑え、均一な品質の製品を効率的に生産することです。
そのために、検査によって規格外の製品が後工程や市場へ流出することを防ぎます。
具体的な業務として、受け入れた原材料の検査、製造途中の製品の抜き取り検査、完成品の最終検査などがあげられます。
品質管理は、問題を発見し修正することに力を入れる「発見的」なアプローチであり、製造現場で品質を作り込み、保証するための手段です。
関連記事:加工部品の検査とは?品質を支える検査の重要性と種類を解説
品質保証と品質管理の4つの明確な違い

この2つの活動は、目的や責任の範囲、時間的な関わり方、そして業務の対象となる範囲において明確な違いがあります。
ここでは、以下4つの違いを紹介します。
- 目的と視点の違い
- 責任範囲の違い
- 時間軸の違い
- 業務対象の違い
詳しく見ていきましょう。
目的と視点の違い
品質保証と品質管理のもっとも根本的な違いは、その目的と視点にあります。
品質保証の最終的な目的は「顧客満足度の向上」であり、常に「顧客視点(買い手視点)」で活動が行われます。
重視するのは、製品が顧客の手に渡ったあとも安全に、そして満足して使い続けてもらえるかという点です。
つまり、製品そのものの品質だけでなく、顧客の体験価値全体を高めることが目的です。
一方、品質管理の目的は「製品が定められた規格を満たすこと」であり、その視点は「作り手視点」といえます。
製造工程において、設計図や仕様書どおりに製品が作られているか、不良品が発生していないかを確認し、プロセスの安定化を図ることに焦点を当てます。
責任範囲の違い
品質保証と品質管理では、責任を負う範囲も大きく異なります。
品質保証が責任を負う対象は、最終的に製品を使用する「顧客」そして「市場」全体です。
製品が市場に出たあとに発生した不具合やクレーム、さらにはリコールに至った場合、その最終的な責任は品質保証が担うことになります。
これに対して、品質管理の責任範囲は、あくまで社内で定められた「製品の品質基準や規格」に対してです。
製造された個々の製品が、出荷される時点で社内の基準をクリアしていることに責任を持ちます。
市場での評価や顧客の満足度といった点については、直接的な責任の範囲外となります。
責任の対象が「社外の顧客」か「社内の製品規格」かという点が明確な違いです。
時間軸の違い
両者の活動が関わる「時間軸」の長さも、明確な違いの1つです。
品質保証は、製品が生まれる前の企画・設計段階から関与し、その製品が市場からなくなるまで、あるいはそれ以降も品質に対する責任を持ち続けます。
たとえば、企画段階での品質目標の設定、設計段階でのリスク分析、販売のあとの市場調査や顧客からのフィードバック分析などです。
一方、品質管理の時間軸は、おもに製品が製造されている期間に限定されます。
原材料が工場に搬入されてから、製品として完成し、出荷検査に合格するまでがおもな活動範囲です。
製造工程という「今、ここ」で起きていることに集中し、リアルタイムで品質を監視・改善することに注力します。
業務対象の違い
品質保証と品質管理は、業務が対象とする範囲の広さも異なります。
品質保証の業務範囲は広範で、組織横断的な活動となります。
製品の企画・開発部門、原材料を調達する購買部門、製造部門や営業、顧客対応を行う部門など、社内のあらゆる部門と連携しなければいけません。
これらの全部門の活動が最終的な製品品質に結びつくよう、プロセス全体を俯瞰し、管理・改善する役割を担います。
これに対し、品質管理の業務範囲は、原則として製造工程に限定されます。
おもな活動場所は工場の生産ラインや検査室であり、製造部門のスタッフや現場の作業員との連携が中心です。
まとめ:品質保証と品質管理の違いを理解し企業の価値向上へ
品質保証と品質管理の違いを理解し、両者を連携させることは企業の価値向上に不可欠です。
しかし、自社だけでの体制構築や「研削加工の品質問題を解決したい」「海外製部品を安心して購入したい」といった課題解決には、専門的な知見が求められます。
広商NEXUSは、現場の改善提案ができる技術商社として、良品率100%を目指した品質管理や、協力会社と一体となった品質改善でサポートします。